前立腺癌の確定診断は生検で行いますが、転移の有無はCTやMRIなどの画像検査で行います。前立腺癌は骨転移しやすいため、骨シンチグラフィも欠かせません。前立腺癌の画像検査について知っておきましょう。
前立腺がんの確定診断は生検で行われ、転移が疑われない早期癌であればそれ以上の検査は行いません。しかし、グリソンスコアが7の中リスク群、8以上の高リスク群では癌が広がっている可能性があるため、画像検査を行って転移の状態を確認し、ステージ(病期)を判断する必要があります。
この画像検査にはCT検査、MRI検査、PET検査、骨シンチグラフィ検査が用いられます。特に前立腺がんは骨への転移がしやすい癌であるため、早期の骨転移発見には骨シンチグラフィ検査が欠かせません。
CT検査とはX線撮影装置を回転させながら、検査したい部位を細かく連続的に撮影するもので、撮影画像をコンピュータ処理し、体を輪切りにしたような断面画像として見ることができます。
臓器の断面も撮影する事ができるため詳細な検査が可能ですが、前立腺の内部までははっきり撮影できず、前立腺がんの早期診断にはあまり向いていません。CT検査では肝臓やリンパ節、骨への転移を調べるなど、癌の進行度を見る検査手段として用いられています。
MRI検査とは強力な磁気によって細胞の中にある水素元素などを共鳴させ、その動きをコンピュータ処理して画像化する検査法で、磁気共鳴画像法ともいわれています。CT検査に比べて画像が鮮明であり、撮影断面の角度を変えられるなどのメリットもあります。
MRI検査では癌が前立腺被膜の外に広がっているか、精嚢や膀胱、直腸など周囲の臓器に癌が広がっているかを調べるのに役立つほか、骨の状態も調べる事ができます。また、レントゲンやCT検査と違い放射線を使用しないため、放射線被爆の心配がありません。
最近では直腸に直接コイルを挿入する「経直腸コイル」を用いて前立腺だけを撮影し、前立腺内部の癌や被膜外への浸潤の状況などを詳しく調べることができるようになっています。
骨シンチグラフィとは、骨にできたガン巣に集まりやすいテクネシウムと呼ばれる放射線物質を点滴か注射で体内に注入し、しばらく時間が経ってから(3時間程度)ガンマカメラで撮影する検査です。
骨に癌がある場合はその部分に放射線物質が集まるため、ガンマカメラで撮影すると黒く映し出されることから、黒くなっている部分に癌があることが判断できます。
前立腺がんは骨に転移しやすいという特徴があるため、骨への転移の有無を調べられる骨シンチグラフィは有効な検査手段であるといえます。ただし、骨シンチグラフィは骨の炎症部位や骨折箇所も黒く映し出してしまうため、MRI検査などと組み合わせて判断する必要があります。