直腸内指診(以下、直腸診)とは、医師がゴム手袋の指にゼリーをつけ、肛門から直接指を入れて前立腺の大きさや硬さを触診する検査です。前立腺は直腸のすぐ隣にあるので、肛門から指を入れると直腸の壁越しに前立腺に触れることができます。
直腸診を受ける際は、ズボンを下げてベッドの上で側臥位と呼ばれる横向きになるよう指示されます。医師は手袋をはめた人差し指か中指にゼリーを塗り、肛門からゆっくり指を挿入します。そして指の腹側で直腸の壁越しに前立腺に触れ、前立腺の状態を調べます。
肛門から指を入れて行う検査のため、多くの患者が直腸診に抵抗を感じますが、医師が直接前立腺の状態を確認できる大切な検査ですので、恥ずかしがらずリラックスして受けるようにしましょう。
正常な前立腺は表面が滑らかで柔らかく、栗のような大きさと形をしている臓器ですが、前立腺肥大症などで肥大するとゴムのような弾力性を持つようになり、直腸内に突き出てくるようになります。
さらに前立腺が癌になると、表面は石のように硬くなり、ゴツゴツしてきます。医師は直腸の壁越しに前立腺に触れることで、前立腺の硬さや表面の状態(デコボコしているか)、大きさが左右対称かなどを調べます。直腸診を受けた患者のうち、20〜40%に異常が発見されるとされています。
直腸診は医師が直接前立腺の状態を確認できる大切な検査ですが、医師が指で触れられるのは前立腺の背中側だけであり、お腹側に癌が出来ている場合は触診で確認することができません。
また、早期の前立腺がんを触診で見つける事は難しく、触診で発見できるのはある程度進行した癌です。さらに、医師の経験値や熟練度によっても検査結果は変わってしまうことがあるため、前立腺癌の検査には超音波検査やPSA検査、生検なども行って最終的な診断をします。