生検とは、癌が疑われる部位の組織を針などの器具を使って採取し、細胞を顕微鏡で調べて癌細胞の有無を調べる検査です。
画像検査などと違い、癌が疑われる部位の細胞の状態を直接観察できるため、癌の確定診断をする上でとても重要な検査と言えます。この生検は前立腺癌に限らず、多くの癌の検査に用いられています。
ただし、すべての人が初めから生検を行うわけではありません。針などを使って細胞を摂取するため、麻酔したり、入院したりするなど、患者にはある程度の負担を伴います。基本的には直腸診や超音波検査で前立腺に異常が認められたり、腫瘍マーカー検査でPSA値が高い人に行います。
生検の検査方法は、太さ1〜2mmの針を直腸や会陰から前立腺に届くように刺し、前立腺の細胞組織を採取します。最近では生検銃(バイオプシーガン)と呼ばれる先端に超音波を発するプローブを備えた器具を肛門から挿入し、超音波画像で前立腺の位置を確認しながら針を挿入する、より確実な採取方法がとられています。
生検では癌細胞の見落としを防ぐため、針を刺す箇所は10か所以上が望ましいとされており、病院によっては20か所以上に刺して組織を採取する場合もあります。
太さ1〜2mmの針を直腸から10〜20か所も刺すという話を聞くと、かなりの痛みを心配する人がいるかもしれませんが、生検では痛みを感じることがほとんどありません。
その理由として、針は器具から瞬時に飛び出して組織を採取するほか、そもそも直腸には痛みを感じる神経がありません。さらに、検査時には局所麻酔か腰椎麻酔が行われます。
生検は痛みがないといっても、10〜20か所に針を刺すため出血や感染症のリスクを伴います。そのため、生検の所要時間は30分程度ですが、病院によっては1泊の入院をする場合もあります。
ただし、最近では生検を麻酔せずに外来検査で行う病院も増えており、その場合は日帰りとなります。なお、検査結果が出るまでは1週間程度かかります。
検査後は穿刺部位からの感染症を予防するため、日帰りや入院に関わらず、3日間程度の抗生剤服用が必要となります。また、穿刺部位の傷が治まるまでの1週間程度は前立腺を刺激しないよう、自転車やバイクに乗るのを控えるよう指導されます(サドルが前立腺付近を圧迫するため)。