前立腺肥大症の代表的な症状として、残尿感や頻尿、失禁、放尿力の低下、尿閉などの排尿障害があります。このような症状は一般に男性の老化現象として捉えられがちですが、その多くの原因が前立腺の肥大によるものなのです。
以下に示すような排尿障害に心当たりのある50歳以上の男性の方は、前立腺の肥大が疑われますので一度泌尿器科で診察する事をおすすめします。
≪残尿感≫
健康な人であれば、たまっている尿を出し切った時に膀胱あたりにすっきりとした解放感を感じます。しかし、前立腺が肥大すると尿道が圧迫されて膀胱から尿が出きらないため、放尿を終えても膀胱に尿が残っているような、なんともいえない不快感を感じるようになります。これを残尿感といいます。この残尿が150mL以上になるようだと、すぐに尿意を感じるため頻尿になります。
≪頻尿≫
健康な成人男性が1日にする排尿回数はおよそ5〜6回ですが、それ以上の回数をするようであれば頻尿の恐れがあります。特にトイレに行く間隔が2時間未満であったり、就寝後も2回以上トイレに起きるようであれば、前立腺肥大による頻尿が疑われます。前立腺が肥大すると尿道を圧迫するようになるため、あまり尿がたまっていないのに尿意を感じたり、膀胱に貯まった尿を排出しきれなくなるために頻尿が起こるようになります。
≪尿漏れ≫
排尿がうまくいかず膀胱に尿がたまり続けると、尿道括約筋が膀胱内の尿の圧力に耐えられなくなって尿が漏れることがあります。
≪排尿困難≫
前立腺が肥大して尿道を圧迫するようになると、尿の流れが少なくなって排尿困難症状を引き起こします。排尿困難症状としては、尿線(排尿時に尿が描く線)が細くなる、放尿力が弱くなる、排尿時間が長くなる、尿が出るまでに時間がかかるなどがあります。
前立腺肥大症の代表的な症状といえば排尿障害ですが、それ以外にも前立腺肥大症が疑われる症状として以下のようなものがあります。
≪むくみや足のだるさ≫
前立腺肥大症が進行すると、排尿障害によって体内の水分代謝に支障をきたすようになるため、体がむくんだり、血圧が上昇したり、心臓に負担がかかったりするようになります。頻尿や残尿感などの排尿障害に加えて、体がむくんだり、足がだるいなどの症状が現れた場合は、前立腺肥大症を疑って泌尿器科で診察を受けてみましょう。
≪血尿≫
血尿とは尿に血液が混ざったもので、血液のような真っ赤な尿もあれば、少量の血液が混ざって見た目にはわからないものもあります。血尿は膀胱や尿道など泌尿器に障害がある時に起こります。そのため、血液のような真っ赤な血尿が出るようであれば泌尿器のどこかが傷ついていたり、腫瘍ができて出血していることが疑われます。前立腺肥大症では真っ赤な血尿が出る事はほとんどありませんが、尿検査で血液が混ざっている事がわかる場合があります。
≪お酒や風邪薬で尿が出なくなる≫
前立腺肥大症の人がお酒を飲みすぎると、尿が出なくなる事があります。お酒には血行促進や利尿作用などの働きがあるため、うっ血によって前立腺がますます肥大したり、利尿作用によって膀胱が急激にいっぱいになることで、括約筋と排尿筋のバランスがくずれてうまく排尿できなくなったりします。また、市販の風邪薬には膀胱の働きを抑える成分が含まれているものがあり、これによって排尿できなくなることもあります。